【2025年最新版】キヤノンの平均年収は865万円！同業他社との比較や働き方を解説

キヤノン株式会社は、映像・印刷・医療・産業分野で事業を展開する精密機器メーカーです。

カメラや交換レンズ、プリンターや複合機にくわえ、半導体露光装置やCTスキャナ、ネットワークカメラなど幅広い製品を製造・販売しています。

1937年の創立以来、技術力を武器にグローバルに事業を展開し、国内外に多数の生産・販売拠点を持つ大手企業として知られています。

本記事では、キヤノン株式会社の平均年収や年代別・役職別の年収についてまとめました。

本記事の要点はこちら

キヤノンの平均年収は865万円｜同業他社との比較

有価証券報告書によると、キヤノンの平均年収は865万円です。

平均年齢は44.2歳、平均勤続年数は19.0年となっています。

日本の上場企業の平均年収が630万円程度であることを考えると、キヤノンの年収水準は高いといえます。

キヤノンと他社の年収を比較

キヤノンの年収を同業他社と比較してみましょう。

精密機器・電機業界の主要企業との比較は以下の通りです。

企業名	平均年収	平均年齢	平均勤続年数	データソース
キヤノン	865万円	44.2歳	19.0年	有価証券報告書
ソニーグループ	1,183万円	42.5歳	15.8年	有価証券報告書
パナソニックホールディングス	956万円	44.0歳	17.9年	有価証券報告書
富士フイルムホールディングス	1,124万円	43.5歳	17.5年	有価証券報告書
コニカミノルタ	821万円	45.8歳	21.2年	有価証券報告書

キヤノンの年収は、同業他社と比較して中程度水準にあります。

ソニーグループやパナソニックホールディングスなど、持株会社形態をとる企業はより高い年収水準となっていますが、事業会社として比較した場合、キヤノンの年収は競争力のある水準といえるでしょう。

また、平均勤続年数が19.0年と長く、長期的なキャリア形成が可能な環境が整っています。

キヤノンにおける給与体系｜年代別・役職別の年収は？

キヤノンの給与体系について、年代別・役職別に詳しく見ていきましょう。

役割等級制度を採用しており、等級に応じた給与テーブルが設定されています。

また、年1回の評価にもとづいて昇給が決定され、賞与は年2回（6月と12月）支給される仕組みです。

役職別の年収

キヤノンでは役割等級制度を採用しており、一般職はT等級からG1、G2、G3、主任クラスがG4、課長クラス以上がM1からM5に分かれています。

G2からG3への昇格には「G3試験」と呼ばれる昇格試験の合格が必要であり、年収の大きな分岐点です。

OpenWorkによると、G3試験に合格してG3等級に到達すると年収は750〜800万円程度となり、早い人では30歳前後で到達します。

役職が上がるにつれて評価の難易度も高くなり、実力主義の色合いが強くなる傾向があるでしょう。

年代別の年収

キヤノンの年代別年収をOpenWorkのデータをもとに見ていきましょう。

年齢	平均年収	年収レンジ	月給目安
25歳	455万円	364～569万円	38万円
30歳	598万円	478～748万円	50万円
35歳	717万円	573～898万円	60万円
40歳	799万円	639～1,000万円	67万円
45歳	849万円	679～1,062万円	71万円
50歳	890万円	712～1,114万円	74万円
55歳	963万円	770～1,205万円	80万円

キヤノンの年収は年功序列の傾向が強く、年齢とともに着実に上昇していきます。

30歳で500万円を超え、35歳で700万円台、40歳で800万円近くに達するペースです。

特に25歳から30歳の伸びが最も大きく、143万円の増加が見られます。

新卒入社から数年間で基礎的なスキルを身につけ、担当業務の幅が広がることで給与が上がるため大幅に増加すると考えられるでしょう。

また、その後も順調に昇給を続け、50代で900万円台、55歳では963万円に達します。

残業代

キヤノンでは、管理職（M1等級）未満の社員には残業代が全額支給されます。

サービス残業はしにくい環境が整っており、残業した分だけ給与に反映される仕組みです。

OpenWorkによると、残業代は「やった分だけつけられる」「安心して残業して良い」との声が多く見られます。

働いた分だけ残業代が支払われるのは良い点である。

引用：Openwork｜年収・給与制度｜一般職、在籍3年未満、新卒入社、男性

また、月の残業時間は部署によって異なりますが、平均的には月20時間程度とされています。

繁忙期にはもう少し増えることもありますが、全体として過度な残業は抑制される傾向です。

ただし、管理職になると残業代が支給されなくなるため、G4等級（主任クラス）で残業を多くした方が、M1等級（課長クラス）よりも年収が高くなるケースもあります。

賞与（ボーナス）

キヤノンの賞与は年2回（6月と12月）支給され、個人業績と会社業績の合計で決まります。

OpenWorkによると、賞与は年間で給与の5〜5.5か月分程度が標準です。

年間の賞与はおよそ給与の5〜5.5ヶ月分程度。これとは別に著しく成果を上げたものには70万円程度の特別賞与あり。

引用：Openwork｜年収・給与制度｜研究開発、在籍10〜15年、新卒入社、男性

個人業績額は前年度の評価ランクに応じて決まり、評価が高いほど賞与額も増加します。

また、会社業績額は決算における純利益に応じて変動するため、会社の業績が良い年は賞与も増える仕組みです。

各種手当

キヤノンでは各種手当が支給されますが、特徴的なのは住宅補助がない点です。

過去には寮制度がありましたが、現在は廃止され、その分を給与に還元する方針がとられています。

ただし、単身赴任者に対しては手厚い手当があり、最大15年間にわたって月額最大5万円の手当に加え、自宅までの往復1回分の交通費と単身赴任先の家賃92％分が支給される点は特徴的です。

また、持株会に加入すると毎月7％の補助が受けられるほか、通勤費用も全額支給されます。

家族手当などの基本的な手当は軒並み廃止されているため、特に若手社員が首都圏で一人暮らしをする場合は、G3試験に合格するまで生活に余裕がないとの声も聞かれます。

男女の年収差

キヤノンの2024年の有価証券報告書によると、労働者の男女の賃金差異は以下の通りです。

項目	全労働者	正規雇用労働者	パート・有期雇用労働者
男女の賃金差異	75.3％	75.6％	74.5％

女性の賃金は男性の約75％となっており、男女間で賃金差異が存在します。

女性に比べ男性の方が管理職比率が高いことが、賃金差異の主な要因です。

キヤノンでは女性管理職比率の向上を重要な課題と認識しており、ダイバーシティ推進に向けた全社横断組織を発足し、女性管理職候補を育成する女性リーダー研修や仕事と育児の両立を支援する活動を行っています。

その結果、正規雇用労働者の賃金差異は前事業年度から0.6ポイント改善しました。

なお、正規雇用労働者のうち、同一役職レベルにおける男女の賃金差異は、部長職で98.0％、課長職で98.4％となっており、同じ役職であれば男女の賃金差はほとんどありません。

また、管理職に占める女性労働者の割合は4.2％、男性労働者の育児休業取得率は64.6％となっており、ダイバーシティの推進が進められています。

キヤノンの働き方｜残業時間・離職率・福利厚生は？

キヤノンの働き方について、残業時間や離職率、福利厚生やキャリアパスの観点から見ていきましょう。

働きやすさは企業選びの重要なポイントですので、詳しく確認していきます。

残業時間

キヤノンの残業時間は、OpenWorkのデータによると月平均20.0時間となっています。

項目	数値
月間残業時間	20.0時間
有給休暇消化率	69.3％

業界平均と比較しても適正な水準であり、ワークライフバランスを保ちやすい環境といえます。

部署や時期によって残業時間は変動しますが、全体として過度な残業は抑制される傾向です。

有給休暇消化率も69.3％と比較的高く、休暇を取得しやすい職場環境が整っています。

離職率・平均勤続年数

キヤノンの平均勤続年数は19.0年と長く、離職率は低い水準にあります。

有価証券報告書によると、従業員数は23,457人で、平均年齢は44.2歳です。

また、平均勤続年数が19年を超えることから、長期的に働ける環境が整っていることがわかります。

ただし、OpenWorkによると「G3試験に合格できないと年収が伸び悩む」「若手のうちは生活が厳しい」といった声も見られ、昇進試験に合格できないことを理由に退職する若手・中堅社員も一定数存在しています。

それでも全体としては勤続年数が長いため、安定したキャリアを築ける企業といえるでしょう。

労使関係も良好で、労働組合が組織されており、従業員の権利が守られる環境が整っています。

福利厚生

キヤノンの福利厚生について見ていきましょう。

かつては社員寮や住宅補助がありましたが、現在は廃止され、その分を給与に還元する方針がとられています。

ただし、単身赴任者に対しては手厚い支援があり、最大15年間にわたって月額最大5万円の手当、自宅までの往復1回分の交通費、単身赴任先の家賃92％分が支給されます。

その他の福利厚生は、以下の通りです。

住宅補助がない点は若手社員にとって厳しい面がありますが、その他の福利厚生は充実しています。

特に育児休業制度は男性の取得率が64.6％と高く、仕事と家庭の両立を支援する体制が整っているといえます。

キャリアパス

キヤノンのキャリアパスは、役割等級制度にもとづいて設計されています。

新卒入社の場合、学部卒はT等級（トレーニー等級）からスタートし、1年後に軽微なマーク試験を経てG2等級に昇格するのが一般的です。

院卒の場合はT等級を半年経て、同様の試験でG2等級に昇格します。

その後、G2等級で3年以上が経過するとG3試験の受験資格が得られます。

G3試験はインバスケットと論文による1次試験と、1次試験の合格者に対する面接があり、合格率は低く難易度が高い傾向です。

また、G3試験に合格しても、すぐに昇進G3等級に昇格できるとは限らず、上司の推薦や評価が必要です。

さらにG4（主任クラス）への昇格には、2から3年連続でAA以上の評価と上司の推薦が必要であり、要件を満たすことでG4アセスメントを受験えきます。

キャリアアップには実力と評価が重要であり、周りに積極的に働きかけてプロジェクトを牽引する人が高評価を得やすい環境です。

キヤノンはどんな会社？｜年収が高い理由・今後の展望も解説

キヤノンがどのような会社なのか、事業内容、年収が高い理由、今後の展望について解説します。

企業理解を深めることで、転職・就職の判断材料となるでしょう。

主な事業・サービス内容

キヤノンの会社概要は以下の通りです。

項目	内容
社名	キヤノン株式会社
本社所在地	東京都大田区下丸子三丁目30番２号
従業員数	23,457人
設立	1937年8月
資本金	1,747億6,200万円
年間収入	1兆8,860億3,100万円（2024年12月期）

キヤノンは1937年に創立された精密機器メーカーであり、映像・印刷・医療・産業分野で幅広く事業を展開しています。

主力事業は、プリンティングビジネスユニット、メディカルビジネスユニット、イメージングビジネスユニット、インダストリアルビジネスユニットの4つのセグメントです。

プリンティングビジネスユニットでは、デジタル複合機やレーザープリンター、インクジェットプリンターや大判プリンターなどを製造・販売しています。

メディカルビジネスユニットでは、CT装置やMRI装置、超音波診断装置やX線診断装置などの医療機器が主力です。

イメージングビジネスユニットでは、レンズ交換式デジタルカメラや交換レンズ、ネットワークカメラや映像解析ソフトウェアなどを提供しています。

インダストリアルビジネスユニットでは、半導体露光装置やFPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置などを手掛けています。

年収が高い理由

キヤノンの年収が高い理由はとして、高い技術力と独自の製品開発力が挙げられます。

カメラや複合機、医療機器や半導体露光装置など、各分野で高いシェアを持つ製品を多数展開しており、安定した収益を生み出しています。

また、グローバル展開による売上規模の大きさも年収の高さの要因です。

2024年の連結売上高は約4兆5,098億円に達し、世界中に生産・販売拠点を持つグローバル企業として安定した収益基盤を確立しています。

さらに、研究開発への積極的な投資も重要なポイントです。

キヤノンは売上高の約7〜8％を研究開発に投じており、次世代技術の開発に力を入れています。

研究開発に力を入れることで、競争力の高い製品を継続的に市場に投入でき、高収益を維持できる体制が整っています。

加えて、長期安定雇用と年功序列の給与体系も年収の高さを支える要因です。

平均勤続年数が19年と長く、着実に昇給していく仕組みが整っているため、長期的に働くことで高い年収を得られるでしょう。

今後の展望

キヤノンは、2024年12月期において売上高4兆5,098億円、営業利益2,864億円を達成し、堅調な業績を維持している企業です。

今後の成長戦略としては、メディカルビジネスの強化を挙げています。

CT装置やMRI装置など医療機器分野は成長市場であり、キヤノンメディカルシステムズを中心に事業拡大を図っています。

また、インダストリアルビジネスの成長も重要な柱です。

半導体露光装置やFPD露光装置は、半導体需要の高まりを受けて堅調な伸びが期待されています。

特に先端半導体製造に不可欠な露光装置は、今後の成長ドライバーとなるでしょう。

さらに、イメージングビジネスのデジタル化対応も進められています。

ネットワークカメラや映像解析ソフトウェアなど、セキュリティ分野での事業拡大を目指しており、2015年に買収したAxis社を中心にグローバル展開を加速しています。

まとめ

キヤノン株式会社の平均年収は865万円で、日本の上場企業の中でも高い水準にあります。

同業他社と比較しても競争力のある年収水準を維持しており、精密機器メーカーとして安定した収益基盤を持つことが年収の高さにつながっています。

年代別に見ると、30歳で500万円台、40歳で800万円近く、50代で900万円台と着実に年収が上がる給与体系です。

ただし、G3試験と呼ばれる昇格試験に合格するかどうかで年収の伸びに大きな差が生じるため、キャリアアップには試験対策が重要となります。

働き方については、月平均残業時間が20.0時間、有給休暇消化率が69.3％と、ワークライフバランスを保ちやすい環境が整っています。

サービス残業はしにくく、残業代も全額支給されるため、働いた分だけ給与に反映される点も魅力です。

一方で、住宅補助がないため、特に若手社員や首都圏で一人暮らしをする場合は生活に余裕がないという声もあります。

キヤノンへの転職・就職を検討している方は、年収水準の高さや働きやすい環境、安定した事業基盤といった魅力などを総合的に判断することが重要です。