30代からの転職は厳しい？未経験でも挑戦しやすい職種や成功のコツを紹介

30代での転職を考えているものの、「もう手遅れではないか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

実際には、30代は社会人としての経験を積み重ねてきた年代であり、転職市場において価値の高い人材として評価されやすい時期といえます。

一方で、20代とは異なる視点での準備や戦略が必要になることも事実です。

本記事では、30代からの転職が難しいと言われる理由や、転職を成功させるポイント、おすすめの職種・業界や転職エージェントの活用方法について解説します。

30代からの転職は難しい？手遅れと言われる理由

30代の転職が難しいと言われる背景には、企業側の採用基準や求職者に求められる要素が20代とは異なることがあります。

実際に株式会社マイナビの「転職活動における行動特性調査 2023年版」によると、30代男性の転職活動率は18.4％、女性は10.7％となっており、約10人に1〜2人が転職活動を行っている計算です。

決して珍しいことではありませんが、転職を成功させるには押さえておきたいポイントがあります。

30代前半と後半で求められる能力が変わる

30代といっても、前半（30〜34歳）と後半（35〜39歳）では企業から期待される役割が異なります。

30代前半では、これまでの経験を活かしながら新しい環境に適応できる柔軟性が評価されやすいです。

一方、30代後半になると、専門性の高さやチームをまとめるマネジメント能力といった、より高度なスキルを求められる傾向があります。

そのため、年齢に応じて自分の強みをどのようにアピールするかを考える必要があるでしょう。

企業は即戦力を求めているから

中途採用において企業が30代の人材に期待するのは、入社後すぐに成果を出せる即戦力としての活躍です。

新卒や20代の採用では、ポテンシャルや将来性を重視する企業が多い一方、30代には実務経験に裏打ちされたスキルが求められます。

そのため、これまでの業務でどのような成果を上げてきたのか、具体的な実績を示すことが重要になるでしょう。

未経験分野への転職は求人が少なくなる

30代で未経験の職種や業界に挑戦したい場合、20代と比べて選択肢が限られてくることは否めません。

多くの企業は、未経験者を育成する時間やコストを考慮すると、若手人材を優先する傾向があるためです。

ただし、人手不足が深刻な業界や、これまでの経験を応用できる分野であれば、未経験でも採用される可能性はあります。

転職の目的を明確にし、本当にキャリアチェンジが必要なのかをじっくり考えてみることをおすすめします。

マネジメント経験が求められる場面が増える

30代は、組織の中核を担う年代として、後輩の指導やチームのマネジメントを任される機会が増えてきます。

転職市場でも、マネジメント経験の有無が選考の大きなポイントになることが少なくありません。

もしマネジメント経験がない場合でも、プロジェクトのリーダーを務めた経験や、後輩へのサポート実績など、関連するエピソードを伝えることで評価につながる可能性があります。

30代の転職におすすめの職種・業界

30代の転職では、これまでの経験を活かせる職種や、人材ニーズが高まっている業界を選ぶことで、成功の可能性を高められます。

また、将来性のある分野を選べば、長期的なキャリア形成にもつながるでしょう。

ここでは、30代の転職におすすめの職種・業界を紹介します。

営業職｜経験を活かしやすい

営業職は、業界が変わってもコミュニケーション能力や提案力といった基本的なスキルを応用しやすい職種です。

30代であれば、顧客との信頼関係を構築する力や、目標達成に向けて戦略的に動ける経験が評価されやすいでしょう。

特にBtoB営業の経験がある場合、より高単価な商材を扱う企業への転職で年収アップを狙うことも可能です。

IT系エンジニア｜将来性が高く柔軟な働き方ができる

IT業界は慢性的な人材不足が続いており、30代でも未経験から挑戦できる企業が増えています。

プログラミングスクールなどで基礎を学んでから転職するケースも珍しくありません。

すでにIT関連の実務経験がある場合は、より専門性の高いポジションやマネジメント職を目指すことも視野に入るでしょう。

リモートワークやフレックス制度を導入している企業も多く、柔軟な働き方を実現しやすい点も魅力といえます。

介護・福祉業界｜ニーズが拡大しており資格支援がある

高齢化社会の進行に伴い、介護・福祉業界の人材ニーズは今後も拡大していく見込みです。

未経験からでも挑戦しやすく、働きながら資格取得を支援してくれる企業も多いため、30代からのキャリアチェンジ先として検討する価値があります。

介護福祉士やケアマネジャーといった資格を取得することで、キャリアアップや収入増加も期待できるでしょう。

コンサルタント｜社会人経験を活かせる

コンサルタント職は、これまでの業界知識や業務経験を活かして企業の課題解決を支援する仕事です。

30代であれば、現場での実務経験を基に説得力のある提案ができるため、クライアントからの信頼を得やすいでしょう。

経営コンサルタント、ITコンサルタント、人事コンサルタントなど、専門分野は多岐にわたります。

論理的思考力や課題解決能力が求められる一方、高収入を狙える職種でもあるため、キャリアアップを目指す方におすすめです。

建設・インフラ業界｜安定性が高く手に職がつく

建設・インフラ業界は、社会基盤を支える重要な役割を担っており、景気の影響を受けにくい安定した業界です。

施工管理や設計といった専門職は、資格を取得することで長く活躍できる技術を身につけられます。

30代から未経験で挑戦する場合でも、現場での経験を積みながらステップアップしていくことが可能です。

物流・運輸業界｜人手不足で採用が活発

EC市場の拡大により、物流・運輸業界の人材需要は急速に高まっています。

ドライバーや倉庫管理、配送センターのオペレーション担当など、幅広い職種で求人が増えている状況です。

未経験でも採用されやすく、大型免許などの資格取得を支援してくれる企業も多いため、30代からでも挑戦しやすいでしょう。

将来的には、倉庫管理責任者や配送拠点の責任者といったマネジメント職へのキャリアアップも期待できます。

30代の転職を成功させる5つのポイント

30代で転職を成功させるには、これまでのキャリアを振り返り、自分の強みや転職の目的を明確にすることが重要です。

準備を怠ると、応募先とのミスマッチが生じたり、転職活動が長期化したりするリスクがあります。

ここでは、転職を成功に導くために押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

経験やスキルを棚卸しする

転職活動を始める前に、これまでの業務経験やスキルを整理することが大切です。

どのようなプロジェクトに関わったのか、どんな成果を上げたのかを具体的に書き出してみましょう。

数値で示せる実績があれば、より説得力が増します。

また、業務を通じて身につけたスキルや資格を洗い出すことで、応募先企業でどのように貢献できるかが見えてくるでしょう。

転職の目的を明確にする

なぜ転職したいのか、転職によって何を実現したいのかを明確にしておくことが重要です。

年収アップ、ワークライフバランスの改善、キャリアアップなど、人によって優先したい条件は異なります。

目的が曖昧なまま転職活動を進めると、企業選びの軸がぶれてしまい、入社後に後悔する可能性が高まるでしょう。

また、面接の場でも転職理由を説得力を持って伝えられるよう、自分の考えを整理しておくことが大切です。

自己分析と企業研究を徹底する

自己分析では、自分の強みや弱み、価値観、働く上で譲れない条件などを深く掘り下げていきます。

一方、企業研究では、応募先の事業内容や企業文化、求める人物像などを詳しく調べることが必要です。

この2つを組み合わせることで、自分に合った企業を見極めやすくなります。

企業のホームページだけでなく、口コミサイトやSNS、IR情報なども活用して、多角的に情報を集めてみてください。

中長期のキャリアプランを立てる

転職は単なる環境の変化ではなく、キャリア全体の中での一つのステップです。

5年後、10年後にどのような働き方をしていたいのか、どんなスキルや経験を積んでいきたいのかを考えておきましょう。

中長期的な視点を持つことで、目先の条件だけにとらわれず、本当に自分のキャリアにプラスになる選択ができます。

また、面接でキャリアプランを尋ねられた際にも、具体的なビジョンを示すことで、企業側に好印象を与えられるでしょう。

在職中に転職活動を進める

転職活動は、できる限り現職を続けながら進めることをおすすめします。

退職してから活動を始めると、収入が途絶えるため焦りが生まれやすく、妥協した選択をしてしまうリスクがあるためです。

在職中であれば、じっくりと企業を比較検討しながら、納得のいく転職先を探すことができます。

ただし、現職の業務に支障が出ないよう、スケジュール管理には十分注意しましょう。

30代で転職するメリット

30代での転職には、この年代ならではのメリットがあります。

社会人として積み重ねてきた経験やスキルが評価され、キャリアアップや待遇改善につながる可能性が高いためです。

ここでは、30代で転職する主なメリットを紹介します。

これまでの経験やスキルを活かせる

30代の転職では、これまで培ってきた業務経験や専門知識を武器にできる点が大きなメリットです。

企業側も即戦力としての活躍を期待しているため、経験者であれば採用されやすい傾向があります。

マイナビの調査によると、30代男性の86.1%、30代女性の89.3%が希望の職種に転職できたという結果が出ています。

同じ業界・職種での転職であれば、入社後もスムーズに業務に取り組めるため、早期に成果を上げやすいでしょう。

給料やポジションが上がる可能性がある

30代の転職では、年収アップやより責任のあるポジションへの昇進を実現できるケースが少なくありません。

マイナビの調査では、30代男性の約半数が転職後に年収が上がったと回答しており、前職より年収が増加した人の平均増加額は約98万円となっています。

これまでの実績をしっかりアピールできれば、現職では得られなかった待遇や役職を手に入れることも可能です。

ただし、条件面だけにこだわりすぎると選択肢が狭まるため、キャリア全体を見据えたバランスの取れた判断が求められるでしょう。

リーダーや幹部候補としてのニーズが高い

30代は、組織の中核を担う人材として期待される年代です。

プレイヤーとしての実務能力に加え、チームをまとめるマネジメント能力を持つ人材は、多くの企業で求められています。

特に成長企業やベンチャー企業では、組織拡大に伴って管理職候補を積極的に採用するケースが増えているため、キャリアアップのチャンスが豊富です。

キャリアの幅を広げられる

転職によって新しい環境に身を置くことで、これまでとは異なる視点や経験を得られます。

同じ業界でも企業規模や文化が違えば、学べることは大きく変わってくるでしょう。

また、関連する別の職種に挑戦することで、スキルの幅を広げることも可能です。

多様な経験を積むことは、今後のキャリアにおいて大きな財産となり、市場価値を高めることにもつながります。

変化を恐れず、新たな挑戦を楽しむ姿勢が大切です。

30代で転職するデメリット・注意点

30代の転職にはメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。

事前にリスクを把握しておくことで、転職活動を慎重に進められるでしょう。

ここでは、30代で転職する際に知っておきたいデメリットや注意点を紹介します。

求人数が20代と比べて減る

30代になると、応募できる求人の数が20代と比べて少なくなる傾向があります。

企業側が若手人材を優先する理由として、育成にかかる時間やコスト、組織への適応力などが挙げられます。

特に未経験歓迎の求人では、年齢制限が設けられているケースも珍しくありません。

ただし、経験者採用やマネジメント候補の求人では、30代ならではの強みを発揮できる場面も多いため、自分に合った求人を見極めることが重要です。

未経験分野では年収が下がるリスクがある

30代で未経験の職種や業界に転職する場合、年収が下がる可能性があることを覚悟しておく必要があります。

マイナビの調査によると、30代男性の約2割が転職後に年収が下がったと回答しています。

経験者としての評価が得られない分、待遇面で妥協を求められるケースがあるためです。

ただし、中長期的なキャリアを考えたとき、一時的な年収ダウンを受け入れてでも挑戦する価値がある場合もあります。

目先の収入だけでなく、将来的な成長の可能性も含めて判断することが大切です。

ゼロからキャリアを形成するのが難しい

30代で未経験の分野に転職した場合、これまで積み上げてきたキャリアをリセットすることになります。

新しい環境で一から学び直す必要があり、同年代の経験者と比べて遅れをとることもあるでしょう。

また、年下の上司や先輩から指導を受ける場面も出てくるため、柔軟な姿勢が求められます。

キャリアチェンジを成功させるには、学ぶ意欲と謙虚さを持ち続けることが欠かせません。

年収にこだわりすぎると選択肢が狭まる

転職で年収アップを目指すこと自体は悪いことではありませんが、こだわりすぎると応募できる企業が限られてしまいます。

年収だけを重視した結果、職場環境や業務内容とのミスマッチが生じ、早期退職につながるケースも少なくありません。

大切なのは、働きがいや成長機会、ワークライフバランスなど、総合的な視点で企業を評価することです。

一時的に年収が横ばいでも、将来的なキャリアアップにつながる選択であれば、検討する価値があるでしょう。

高すぎるプライドは捨てる必要がある

30代になると、これまでの実績や経験に自信を持つ一方で、プライドが邪魔をして新しい環境に適応しづらくなることがあります。

転職先では、前職でのやり方が通用しないことも多く、素直に学ぶ姿勢が求められます。

特に年下の社員から指導を受ける場面では、謙虚さを持って接することが大切です。

プライドを捨てるというより、柔軟に変化を受け入れる姿勢を持つことで、転職後の適応がスムーズになります。

30代の転職活動で準備すべきこと

転職を成功させるには、事前の準備が欠かせません。

特に30代は、企業から即戦力としての活躍を期待されるため、自分の強みや転職の目的を明確にしておくことが重要です。

ここでは、転職活動を始める前に準備しておきたいポイントを紹介します。

転職したい理由を整理する

転職活動を始める前に、なぜ転職したいのかを明確にしておくことが大切です。

現職への不満だけでなく、転職によって何を実現したいのかを具体的に言語化してみましょう。

理由が曖昧なまま活動を進めると、企業選びの軸がぶれてしまい、入社後にミスマッチを感じる可能性が高まります。

また、面接でも転職理由を必ず聞かれるため、前向きかつ説得力のある説明ができるよう準備しておくことが重要です。

活かせる強みを明確にする

30代の転職では、これまでの経験やスキルが最大の武器となります。

どのような業務に携わり、どんな成果を上げてきたのかを具体的に振り返ってみましょう。

数値で示せる実績があれば、より説得力が増します。

また、業務を通じて培ったスキルや強みを洗い出すことで、応募先企業でどのように貢献できるかが見えてくるでしょう。

自分では当たり前だと思っていることが、実は他社で高く評価される強みであることもあります。

求める条件の優先順位を決める

転職先に求める条件をすべて満たす企業を見つけることは難しいため、優先順位をつけておくことが重要です。

年収、勤務地、働き方、キャリアアップの機会など、自分にとって譲れない条件と妥協できる条件を明確にしましょう。

優先順位が定まっていれば、複数の企業から内定をもらった際にも、迷わず判断できます。

また、条件を絞りすぎると選択肢が狭まってしまうため、柔軟性を持つことも大切です。

退職と転職のタイミングを調整する

転職活動は、できる限り在職中に進めることをおすすめします。

退職してから活動を始めると、収入が途絶えることで焦りが生まれ、妥協した選択をしてしまうリスクがあるためです。

マイナビの調査によると、30代の転職活動期間は1〜3カ月以内が最も多く、約半数を占めています。

現職の業務を継続しながら、スケジュールを調整して面接に臨む人が多いことがわかります。

内定後も、引き継ぎや有給消化を含めた退職手続きを考慮して、入社日を調整することが大切です。

必要な資格やスキルを取得する

応募したい職種や業界で求められる資格やスキルがある場合は、転職活動を始める前に取得しておくことをおすすめします。

資格を持っていることで、未経験でも意欲や適性をアピールできるためです。

また、業務に役立つスキルを独学やスクールで学んでおくことも、転職活動を有利に進める要素となります。

ただし、資格取得にこだわりすぎて転職活動が遅れてしまうと、機会を逃す可能性もあるため、バランスを考えて進めることが大切です。

30代からの転職におすすめの転職エージェント

30代の転職を成功させるには、転職エージェントの活用が効果的です。

キャリアアドバイザーが経験やスキルを踏まえて適切な求人を紹介してくれるほか、応募書類の添削や面接対策などのサポートも受けられます。

ここでは、30代の転職におすすめの転職エージェントを紹介します。

JACリクルートメント

JACリクルートメントは、管理職や専門職を中心としたハイクラス転職に強みを持つエージェントです。

30代のキャリアアップを目指す方にとって、年収800万円以上の求人を豊富に取り扱っている点が魅力といえるでしょう。

外資系企業やグローバル企業への転職支援にも定評があり、英語力を活かした転職を希望する方にもおすすめです。

コンサルタントは各業界に精通しており、一人ひとりのキャリアプランに寄り添った提案をしてくれます。

パソナキャリア

パソナキャリアは、30代のキャリアアップ支援に定評のある転職エージェントです。

幅広い業界・職種の求人を取り扱っており、これまでの経験を活かした転職から、新たな分野への挑戦まで幅広く対応してくれます。

特に女性の転職支援にも力を入れており、ライフステージに合わせた働き方の提案も受けられるため、ワークライフバランスを重視したい方にもおすすめです。

手厚いサポート体制が整っており、転職活動が初めての方でも安心して利用できるでしょう。

ASSIGN

ASSIGNは、20代〜30代のハイエンド層に特化した転職エージェントです。

コンサルティング業界やIT業界の求人に強みを持ち、専門性の高いポジションへの転職を目指す方に適しています。

単なる求人紹介にとどまらず、中長期的なキャリアプランを一緒に考えてくれる点が特徴です。

30代でキャリアの方向性を見直したい方や、より専門性を高めたい方にとって、頼りになるパートナーとなるでしょう。

30代の転職に関するよくある質問

30代の転職に関して、多くの方が抱える疑問や不安にお答えします。

転職活動を始める前に、よくある質問を確認しておくことで、スムーズに準備を進められるでしょう。

まとめ

30代の転職は、これまで培ってきた経験やスキルを活かせる絶好のタイミングです。

企業から即戦力として期待される年代だからこそ、年収アップやキャリアアップを実現できる可能性が高いでしょう。

一方で、20代と比べて求人数が減ることや、未経験分野への挑戦が難しくなることも事実です。

転職を成功させるには、自分の強みや転職の目的を明確にし、応募先企業のニーズとマッチしているかを慎重に見極めることが重要です。

また、転職活動は在職中に進めることで、焦らず納得のいく選択ができます。

転職エージェントを活用すれば、経験豊富なアドバイザーから適切なサポートを受けられるため、効率的に活動を進められるでしょう。

30代は、キャリアを見つめ直し、新たな挑戦ができる大切な時期です。